月刊アイワホーム4月号/「美観を損なう白華現象の対策法」と「造成して見違えた2つの建築予定地」と「猫は建築職人の天敵」のお話
ほんの10分ほど、コンクリート造の建物やブロック塀を観察しながら街歩きをすると、下の写真のように表面が白い粉で汚れたように見える壁やブロックがたくさん見つかります。
これは白華(はっか)という現象で、雨でコンクリート内から溶け出した水酸化カルシウムが空気中の二酸化炭素と結合して炭酸カルシウムに変化することが原因で起こります。白い粉の正体は炭酸カルシウム、すなわち石灰というわけです。
木造注文住宅の場合、建物の基礎にまれに発生することがあり、お客様から「この白い粉はなにか?劣化の心配はないか?」といった問い合わせをいただくことがあります。
結論からいうと、白華現象によってコンクリートの強度や耐久性が損なわれることはありません。とはいえ美観が損なわれることは確かなので、今回は発生した白華現象の対処方法を紹介しておきます。
(基礎コンクリートに発生した白華現象)
(1)水をたっぷりかけて、タワシでこすり、再度水で洗い流す。この方法でほとんどの場合、きれいになります。
(2)(1)のやり方でダメな場合は、ホームセンターで「エフロ除去剤」を買ってきて、それで洗えばきれいになります。(ちなみに白華現象のことを英語でエフロレッセンスといい、エフロはその略語です)
インターネットで調べるとトイレ用洗剤のサンポールで洗うとキレイになるという情報が多く見つかります。炭酸カルシウムは酸で溶けるので、その方法には一理あるのですが、サンポールに配合されている別の成分が原因でシミになることもあるようです。ここは専用のエフロ除去剤を使うことをおすすめします。
そもそもの白華現象を防ぐ方法があるのか?気になる方も多いと思うのですが、残念ながら完全に防ぐ手立てはありません(ゼネコンやセメントメーカーも白華現象には昔からずいぶん悩まされています)。とはいえ傾向的には、水はけが悪く、雨が降ると水たまりができるような環境のコンクリートによく起こります。したがって基礎の周囲には砕石などを敷いてできるだけ水はけをよくし、かつ雨の跳ね返りもできるだけなくす。そうすることで白華現象の発生確率はかなり減らせると思います。
ただいま家づくり進行中!のコーナー
◎四国中央市・H様邸(平屋建て)
昨年の9月に始まったH様邸の家づくり。いよいよ完成間近となりました。今回は完成直前の室内の様子を紹介いたします。
リビングはうぐいす色のアクセントウォールと深みのある茶色の床と化粧梁の組み合わせ。ノスタルジックでアンティークな雰囲気に仕上がっています。写真右下に写っているルーバー付きのボックスの中には床下エアコンが設置されています。
折り下げ天井を採用したキッチンとダイニング。ちなみに写真に写っている無機質で事務所的なテーブルとイスは完成見学会のために当社が持ち込んだものです。けっしてH様の趣味ではないことを補足しておきます。
タカラスタンダードのシステムキッチン。ホーローのメンテナンス性が評価されて、数年前からずっと人気があります。キッチンの奥がパントリーになっています。
リビング横の客間。遊び心いっぱいの壁紙を採用されました。
奥様の部屋。落ち着いた色合いの壁紙を選ばれました。
ご主人の部屋。天井からぶら下がっているのはステンレス製の懸垂バーです。あらかじめ下地を入れ、がっちり固定しています。
ヘリンボーン模様の壁紙を貼ったランドリースペース。勝手口の横に見えるのはガス衣類乾燥機の「乾太くん」です。ドラム式洗濯乾燥機とは比べものにならない乾燥能力とふんわり仕上げ能力を持っています。
2つあるトイレには個性的でインパクトのある壁紙を選ばれました。トイレはほかの部屋とは切り離された密閉空間で、しかも壁の面積も少ないので、大胆な柄の壁紙を貼っても違和感なく溶け込んでくれます。トイレに思い切ったデザインの壁紙を貼るのは、注文住宅の楽しみのひとつだと思います。
◎喜光地町・W様邸(平屋建て)
まずは屋内の様子。石膏ボードの施工が終わりました。このあと壁紙工事が始まります。
続いて屋外の様子。外壁工事はすっかり終わり、テラス屋根の設置作業が進んでいます。
玄関前ではタイル工事が行われています。完成まであとすこしです。
◎土橋・K様邸(2階建て)
基礎が9割がたできあがりました。
残り1割は玄関の土間コンクリート部分。土間コンクリートを打ち終えると基礎完成となります。
◎上原町・I様邸(平屋建て)
3月中旬、上棟を行いました。下の写真は午前10時頃に撮ったもの。すでに家のカタチができあがっています(平屋建ては早いです)。
屋根組みが始まりました。縦に短いのが小屋束(こやづか)、横に長いのが母屋(もや)です。銀色のシートはアルミ遮熱シート。太陽の輻射熱を99%遮断するので、冷房代が節約できます。
母屋の上から垂木(たるき)をかけていきます。
垂木の上から野地板(屋根の下地材)を貼り、その上にアスファルトルーフィングという屋根用の防水シートを貼っていきます。アイワホームでは改質アスファルトルーフィング(通称ゴムアス)という少し上等のアスファルトルーフィング材を使っています。ゴムのように伸縮性があり、地震で屋根が大きく揺れても破れることがありません。
上棟の様子を少し遠くから撮影してみました。上棟はほぼ終わっています。最後に建築シートを掛けたら上棟完了です。
上棟から2週間後のI様邸。電気の配線工事が終わりました。
続いて躯体検査の様子。写真の男性は第三者機関の検査員の方です。設計図通りに接合金物が設置されているか、接合金物は緩みなくガッチリ固定されているか、筋交いの量や施工精度は問題ないか、など細かくチェックしてくれます。魚釣りが大好きな人で、毎回検査が終わるとひとしきり釣果自慢の時間があります。
躯体検査の2日後、断熱工事が終わりました。壁の中にも天井にも隙間なくたっぷりウレタンフォームを吹き付けておきます。
◎東雲町・I様邸(2階建て)
古家の解体が終わり、土留め工事(擁壁工事)が始まっています。敷地と土手との境界線がハッキリしてきました。
土留め擁壁が完成し、すっきりとしたきれいな土地が現れました。まもなく基礎工事が始まります。
◎阿島・I様邸(平屋建て)
4トントラック300杯分の土砂を入れる大規模な造成工事が終わり、見違えるような立派な敷地になりました。
土地の大きさは150坪ほどあるので、ちょっとした開発分譲地のようです。
大量の土砂による盛り土で、地盤沈下の心配はないのだろうか?と心配される方がいらっしゃるかもしれません。安心してください(とにかく明るい安村さん風に)!セメント系固化材を混ぜ合わせた土砂を使うことで、造成と同時に表層改良も行っているので地盤沈下の心配はないのです。このあと2週間ほど経つと地面はますます固くしまり、より頑強でしっかりした地面になります。
◎八幡・K様邸(平屋建て)
プラン作成や住宅設備の選定など、打ち合わせを進めています。工事レポートはもう少しお待ちください。
◎河内町・分譲住宅(2階建て)
注文住宅の案件が立て込んでいるため、なかなか手が回らない状態です。お客さまを待たせているわけでもないので、ゆっくりやろうと思っています。
アイワホームの近況コーナー
◎岸の近況報告
左官、板金、塗装など、外仕事を行う建築職人の天敵は雨だと昔から言いますが、最近は雨よりも夏の異常な暑さの方がより厄介だったりします。でもそんな雨や夏の暑さより、もっと厄介で憂鬱で迷惑なのが野良猫たちです。
下の写真は喜光地町W様邸の土間コンクリートの上に付けられた猫の足跡。この土間コンクリートの場合は上からタイルを貼るのでとくに問題はないのですが、モルタル仕上げだったりすると作業のやり直しになるので本当にイライラします。
いい仕上がりだ!完璧な仕事ができた!と思って気分良く帰宅した翌朝に猫の足跡を見て落ち込む左官職人さんの姿を今までなんど見てきたことか。そういう時に掛ける慰めの言葉を知っていたら、ぜひ教えてください。
話は変わりますが、下の写真は朝の散歩の際に撮影した国領川の桜です。毎年載せているので今年も載せておきます。青空の下の桜もきれいですが曇天の下の桜も風情があっていいですよね。
◎髙瀨の近況報告
昨年の「こどもエコ住まい支援事業」に続き、今年も「子育てエコホーム支援事業」が始まりました。1棟あたり100万円、予算がなくなった時点で終わる早い者勝ちというルールは前回と同じです。
昨年11月の補正予算案で決まって、今年の3月中旬から下旬に開始というアナウンスがあったものの、なかなか正式発表がなくヤキモキしていたのですが、公式サイトが3月29日にオープンし、4月2日から受付開始という発表が3月27日にありました(遅っ)。
11月の補正予算で決まる関係で、補助金をあらかじめ予算に組み入れているお客様、ギリギリ間に合わず悔しい思いをされるお客様、予定外の100万円が手に入ってものすごく喜ばれるお客様と、補助金にまつわるお客様の気持ちも悲喜こもごもです。もう少し損得のないやり方はないものかといつも思います。
(続く)