月刊アイワホーム5月号/「注文住宅の価格はまだ上がるのか?」と「スキップ構造の平屋建ての工事レポート」と「岸流!?お茶の美味しい淹れ方」のお話
コロナ禍、ロシア・ウクライナ紛争、長引く円安など、さまざまな影響により、2020年頃から多くの建材の価格が断続的に上がり(壁の下地材として使用する石膏ボードなど、2倍以上になった建材も少なくありません)、それにともなって注文住宅の価格もずっと右肩上がりに上がり続けています。
5年ほど前、ハウスメーカーの坪単価は80万~100万円ほどでしたが、今では120万円~140万円ぐらいになっています。ローコストを謳う建築会社の坪単価も、以前は50万円ほどだったのが、今では70万円ほどに上がっています(広告上の見せかけの坪単価ではなくて、実質的・最終的な坪単価の話です)。
ところが最近、「住宅価格は今がピーク。今後は落ち着くはず」といった意見をチラホラ見たり聞いたりするようになりました。発信元は、業界新聞や住設メーカーの営業マンなどです。ただし、なぜ今後落ち着くのかについての明確な論拠はなく、「これ以上あがると、さすがに買える人がいなくなってしまう」という焦りや、「いくらなんでも上がりすぎでしょう!」といった憤りの気持ちが、その背景にあるような気がします。
さて注文住宅の価格は、今後どうなるか、みなさんはどう思われますか?私はまだしばらく上がり続けると思っています。
現場からの帰り、新居浜のイオンモールでよくお弁当を買って昼食に食べるのですが、いつも買っていたお弁当が、ついこの間、380円から420円に値上がりしました。たった40円ですが、1割以上の値上げです。そのうえ、お弁当の容器が浅くなっていて、ごはんの量もおかずの量も少なくなっていました。値上げか、価格は据え置いたまま量を少なくするか、どっちかにしてくれと思うのですが、お米の価格もとんでもなく上がっているし、イオンとしても必死なのでしょう。
お弁当の話はともかく、ガソリン代が上がり、運送費も上がり、人手不足で人件費も上がっている中、注文住宅の価格が落ち着く、もしくは下がる理由は見当たらないように思うのです。
間取りや内装や外観など、個人が自分の家を好きに建てられる。そんな自由設計の注文住宅が、庶民にとって「高嶺の花」になってしまう時代が、近い将来に来るかもしれません。実際、東京近辺では、夫婦で年収1500万円を超える、いわゆるパワーカップルでないと、土地を買って家を建てることができなくなっています。日本はこれからどうなってしまうのでしょうか。ハァ~。ため息が止まりません。
ただいま家づくり進行中!のコーナー
◎田の上・T様邸(平屋建て)
昨年10月から始まったT様邸の家づくりが無事に終わりました。お引き渡し前に撮った写真をいくつか紹介しておきます。
まずは、白×グレーの落ち着いた色合いのリビングの写真です。右下のルーバーの付いた箱の中には床下エアコンが収納されています。床下から1階の床全体(廊下も玄関もトイレも)をじんわり暖めてくれる、オススメの設備です。
続いてキッチンの写真。清潔感のある使いやすいキッチンに仕上がりました(広角で撮ったため、なんだか小さなキッチンに見えますが、そんなことはありません)。左側の扉はパントリーの扉です。
主寝室にはグレーのアクセントウォールと濃い色目の床材を採用しました。寝室らしい、落ち着いた印象です。
最後に外観です。チャコールグレーの外壁がすてきなT様邸です。
◎船木・I様邸(平屋建て)
5月末の完成に向けて、順調に家づくりが進んでいます。
I様邸はスキップ構造の平屋建てです。「スキップ構造の平屋建て」と聞いて、どのような構造か想像できる方は、生まれついての建築の天才かもしれません。そんな方はあまりいないと思いますので、写真で説明したいと思います。
下の写真がI様邸のスキップ構造がよくわかる写真です。手前が中2階のホビールームです。このホビールームの下には高さ140センチの蔵のような収納スペースがあります。写真の奥に5段ほどの階段が見えていますが、その階段の先はロフトになっています。
そのロフトが下の写真です。大きさ約9帖、高さ140センチの広々としたスペースです。子どもが小さな間はプレイルームとしても使えますし、ローテーブルを置けばPC用のスペースとしても使えます。ちなみにこのロフトの下は、主寝室とウォークインクローゼットになっています。
平屋の場合、収納スペースに妥協を強いられることが少なくないですが、スキップ構造の平屋にすることで、収納スペースとプラスワンルームが実現できます。オススメです。
こちらがI様邸の外観。足場が取れました。片流れの一番高くなっているところがスキップ構造になっていて、先ほどのホビールームとロフトが格納されています。
玄関側から見たI様邸。インナーガレージの屋根が突き出ているので、こちらから見るとギザギザした屋根のように見えます。変化があって面白いですね。壁が3カ所凹んでいますが、一番左奥がインナーガレージの入口、真ん中が玄関、右側が自転車置き場になっています。
◎政枝町・Y様邸(平屋建て)
4月末に行った上棟の様子を、写真で振り返ってみたいと思います。
柱建て完了。
梁と桁組み。平屋建てなので、さくさく進みます。
アルミ遮熱シートの施工。太陽の輻射熱の99%を反射してくれるのですが、作業中は照り返しがものすごくて、目がチカチカします。
屋根組み。母屋(もや)や小屋束(こやづか)といった、屋根を支える構造材を組み、さらにその上に垂木を組んでいきます。
垂木の上に野地板(屋根の下地材)を貼っていきます。
野地板の上にアスファルトルーフィング材(屋根の防水シート)貼っていきます。これで上棟は終了となります。
Y様からいただいた上棟の差し入れ。ダンボールの中には、仕切りをわざわざ作ってくださり、甘いものやしょっぱいものなど、たくさんのお菓子がぎっしり!クーラーボックスの中にはたくさんの飲み物をいただきました。上棟に参加した大工・職人を代表して、心よりお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
◎中村・Y様邸(2階建て)
造成工事が終わり、ついこの間まで畑だった土地が、すっきりした宅地へと変わりました。いよいよ家づくりも本番。基礎工事が始まります。
2週間後。型枠工事が始まっています。型枠を組み終えたら、その中に配筋を組み、その後コンクリートの流し込み(打設)を行います。
◎中村・F様邸(平屋建て)
元々あった家の解体工事が始まりました。工事とは関係ないですが、五月晴れの気持ちのいい青空です。「忙中閑あり」という言葉がありますが、仕事の合間にふと見上げる青空や夕やけは良いものです。
解体工事が無事終わりました。5月下旬頃から基礎工事が始まります。
◎萩生旦の上・T様邸(平屋建て)
引き続き、造成工事が進行中です。
アイワホームの近況コーナー
◎岸の近況報告
NHKのドラマ10「しあわせは食べて寝て待て」が面白くて、最近観ています。病気をきっかけに会社を辞めた女性が、引っ越した先の団地で心温かい人々と、「薬膳」に出会い、疲れ果てた心身が徐々に快復し、身近にあるしあわせに気づいていく——そんな物語です。番組の公式サイトには「お粥のように、おなかの底からじんわりと温かくなる物語」と紹介されていますが、まったくその通りだと、見るたびに感じています。
先日放送された回では、干し柿のエピソードがありました。生柿は体を冷やしますが、太陽の光をたっぷり浴びた干し柿は、栄養満点で体を温める食材になる。太陽の力はすごい……というやりとりがありましたが、それを見ながらふと、「お茶も同じだな」と思いました。
不動産・建築業界に身を置く前、ほんの数カ月ではありますが、老舗のお茶屋さんで働いていたことがあります(若いころは、いろいろなことをしていました)。そのときにお茶について多少学んだのですが、新芽を日陰で育てる玉露よりも、太陽の光をたっぷり浴びて育った茶葉でつくる煎茶の方が、はるかに抗酸化作用が高いのです。お茶を飲むなら、玉露よりも煎茶をぜひ選んでください。
話は少し変わりますが、そのお茶屋さんで教わった格言で、今でも強く印象に残っているものがあるので、紹介しておきます。
一煎目のお茶は、香りを楽しむ
二煎目のお茶は、味を楽しむ
三煎目のお茶は、余韻を楽しむ(安いお茶では難しい)
このとき、急須の中のお茶は、しっかり出し切ることが大切です。
◎髙瀨の近況報告
先日、別子山森林公園の「藤まつり」に行ってきました。毎年、5月中旬の土日に開催されていて、これまでお休みと合わなかったのですが、今年はどういうわけか、4月29日の祝日に開催されたので、初めて参加することができました。
街中の藤がちょうど見ごろだったので、「山の高いところにある別子山森林公園の藤も、ちゃんと咲いているだろうか?」と心配しながら向かったところ、残念ながら不安は的中。有名な円形の藤棚の藤は、チラホラと咲き始めた一分咲きといったところでした。残念!
下の写真は、別子山森林公園の円形パーゴラです。時期が合えば、このパーゴラいっぱいに藤の花が咲き誇り、とても見ごたえのある藤棚になるそうです。いつか、その美しい光景を見てみたいと思います。
会場ではキッチンカーがたくさん出店していましたが、売られているのはたこ焼きや焼きそばといった屋台メニューが中心で、もう少ししっかりしたものが食べたくなりました。そんなとき、公園内でたまたま見かけた「オーベルジュゆらぎ」というレストランに入ってみることに。すると、ランチコースが3種類あり、価格がそれぞれ3000円、4500円、6500円と、思いのほか本格的なレストランでびっくり。
しかしメニューをよく見ると、1300円の「デミグラスソースのふわとろオムライス」や、1500円の「鹿肉のボロネーゼパスタ」などのアラカルトメニューもあり、救われた気持ちでそれらを注文しました。どちらもとても美味しかったです。
(続く)